フツーの資源を見逃さずに、ファン=関係人口をつくる

コロナ禍を機として、若者たちを中心に、

自分たちの 「生きる」 あるいは 「過ごす」 場所  を探り始めている人も多いのではないでしょうか?

 

「生きる」は、どこに定住するか、の問題であり、

「過ごす」は、住むのでもなく、観光でもない、第三の”自分の過ごす場所”はどこか、という問題です。

 

「過ごす」の場所に関わる人の数を「関係人口」といいますが、

その「関係人口」の始まり・きっかけ は、やはり、「交流人口」、

いわゆる 観光で遊びに来る人 で、まずは図る(測る)とができるのではないでしょうか?

 

なにが言いたいかというと、

新しい地域活性化の概念としての「関係人口」を増やすポイントととして、

地元の、一見 フツーな資源を、ニュートラルな目で捉えなおそうというアプローチが今後、必要になってくる

のかな、と思います。

 

たとえば、赤岩渡船。

群馬県邑楽郡千代田町の赤岩から利根川をはさんで対岸の埼玉県熊谷市葛和田をつなぐ主要地方道(県道)です。

県道ですが、橋で渡るのではなく、川を動力船で渡るのです。

川だけど立派な県道で、利根川唯一の公道で、年間2万人を超える人々に利用されているそうです。

 

しかし、役場で赤岩渡船のことを尋ねると、意外な回答(対応)が返ってきました。

 

「あそこ(赤岩渡船)は、すぐソコを通る道路とおんなじだから」

「あれは県道なので、私たちには関係ありません」

(・・・終了!) 嘆

 

赤岩渡船は、

江戸時代から昭和初期まで、桐生や足利などからの生糸や絹織物物資を運搬する物流の一大拠点として

大活躍だった河岸でしたが、現在は、鉄道や陸運の発達で 物流ルートとしての意義は失われてしまいました。

 

しかし、現在でも、観光だけでなく、バイクや自転車を乗せた 様々な人を運搬する機能は健在であり、

他の渡船上は廃止されていて、”唯一”の存在です。

 

県道であっても、貴重な地元のアイデンティティとして、後世まで遺したいものです。

 

(下の写真は、今年3月1日に撮ったものです)

 

(遠くからみた船のようす)

 

 

 

 

 

まぁ、たしかに”県道”だし、

子どもの頃から当たり前にある光景を見ている地元の人たちから見れば、

いたってフツーな資源です。

 

しかし、水のある風景は、おわゆる”お水ファン”を呼びます。

 

水上バイクを乗せた車たちの大集団は、実際、すごい賑わいを見せていたし、

グライダー を楽しむ人たちもいます。

 

そして、現在、最も”重要”とされている

「ソーシャルディスタンス」

も地方では健在です(笑)。

 

こうした、遠方から定期的に遊びに来る人たちは、

「関係人口」ともいえそうです。

 

”唯一の風景”とともに、その地域のファンをつくる。

 

こんな取り組みが何より、大切! と老婆心ながら思ってしまう私です。