事業承継での「経営理念の共有」の際に必要なポイントとは・・・?(その1)
「事業承継」の場面では、特に私たちのケースでは 会計面や税務面など、法律的なテーマが確かに中心になるのですが、現場における、もっと重要かつ事前に準備しておくポイントがあると感じています。
それは、「言葉の共有」の確認です(^^)/。
事業承継の教科書??には、ほぼ必ず、現経営者と後継者が、自社の「経営理念」を共有し、同じ価値観を持つことが重要です! と書いてあります。
経営理念とは、一般的には、「経営者の経営に対する想いや価値観、態度、信条等」のことです。
もちろん、成文化されていることが望ましいのですが、たとえしっかりとした文章になっていても、捉え方は、現経営者と後継者では、本当は、ずいぶん違っているのではないか、と私は思っています。
それは、年代や育ってきた環境の違いetc、というほかに、言葉そのものの厳密な捉え方・解釈が人それぞれに異なっていると考えるからです。
「共有している」(→安心)とお互いがそう思っていても、実は、意味・考え方・理解が違っているとしたら、どうでしょうか?
・・・たとえば、仕上げて提出しなくてはならない仕事上の書類が今、ここにあるとします。
その書類を「今日中に出して!」と言われたときの『今日中』って、具体的に何時(何分)でしょうか?
その質問を職員にしてみたところ、「終業時間まででしょうか?」という回答でした。
でも、私(権田)の場合、『今日中』とは、なんと『「日付」が変わる』まで、と考えていました(←性格?(^_^;))。
もし、回答が逆のパターンだったら、事務所内でミスコミュニケーションが生じて、トラブルが発生していたかもしれません。
飲食業などで、夜0時を超えて営業をされている人にとっては、『今日中』という概念はピンと来ず、こういった約束自体がナンセンスなのかもしれません。むしろ、何時(何分)までに、と具体的にやりとりすることが必要です。
これは、「時間」をどう捉えるか、ですが それ以外にも「仕事」をどう捉えるか?など、
本人の価値観やこだわり(例えば、時間ギリギリでもより良い企画を考えたい等)も反映しているかもしれません。
「言葉」にはこんな配慮が必要なのですね。
誰でも、四六時中、経営理念を考えながら経営に携わっているわけではありませんが、
いざ、今後の自社の方向性の決定や転換など、大きな意思決定を伴う場合、
経営判断の基盤、根拠となる「経営理念」に解釈や理解の違いがあると、経営の軸がブレてしまったり、現経営者と後継者との間でトラブルが発生する原因にもなりかねません。
たとえば、「経営理念」のなかに、「誠実」や「誠意をもって・・・」といった文言は多いのですが、「誠意」や「誠実」は厳密にどういった意味・解釈・理解のもとで使われているのか、一度お互い、確認をしてみるのかもしれません。
そういった意味での「経営理念」のすり合わせ(=共有)が理想なのかもしれません。
日産のように、「社内用語辞典」をつくることも必要でしょか?
事務所でも、「クレド」作成過程で、一緒に作っていこうと思っています^ ^。