事業承継の際の「経営理念の共有」のポイント(その2)
先週、事業承継の際に必要な要素である、「経営理念の共有」にあたっては、
「意味・考え・理解」(=言葉の共通理解)を、お互い確認すること
がひとつのポイントとお伝えしました。
”たかが”言葉、でも、”されど”言葉 というわけですね。
今日は、ある一つの、事業承継の現場での事例を考えてみたいと思います。
(以下はあくまで、私個人の意見であり、考え方のひとつにすぎません。。。)
昨年、大手家具販売会社のお家騒動は、大企業でもあり大変な話題となりましたが、創業者の父と、後継者の娘さんとでは「経営理念」すなわち、会社に賭ける想いは一緒(=共有)だったと思います。
その「経営理念」とは、
『お客様に喜んでいただき、社員に喜んでもらい、結果として会社が繁栄する』。
この経営理念を作ったのは、たぶん、創業者のお父さんだと思いますが、本人はどんな想いを抱いて、この経営理念を作ったのかを、私なりに”意味づけ・理解”をしてみると
〇お客様が喜ぶ=「家具という大きな買い物をする際に、お客様の心に寄り添うことで、知識の不足などからくる不安を解消してもらい、お客様のニーズにあった最高の品揃えを提案する」
〇社員が喜ぶ=「最上の接客・提案をすることで、お客様が理想の家具と出会い、最高の住空間を実現することで幸せを感じてもらう、その価値の提供を社員の喜びとする」
すなわち、お客様や社員の感情や人情に寄り添う経営をベースとすることを大切にしてきたのかもしれません。
一方、後継者側(新たな代表者)における”意味づけ・理解”を考えてみると・・・
〇お客様が喜ぶ=「(会員制といった心理的な負担を解消し、)自由に自分の意思で「自分なりのこだわり・センス」を大事にしながら手軽に家具の買い物を楽しみたい」
〇社員が喜ぶ=「・・・?」
↑ 社員が喜ぶがいまいち、まだ出てきませんが(^_^;)、たぶん、上記のような解釈に近いかな?と(勝手に)思います。
こうしてみるとわかるのですが、(価値を提供する)顧客層(ターゲット)そのものが違っている(父の考える顧客は同年代の中高年齢層で、後継者側が想定する顧客は、若い夫婦やモノをなるべく保有したくないシンプルなライフスタイルが好みの若者層・・・)と考えられます。
いずれにしろ、経営理念は(原則として)普遍な原理ですので、ブレてはいけないものです。そこで、
お互いが大切にしていることの共通項を探して二人で真剣に話し合うことも事業承継の成功に有効なポイントだと思います。
まぁ、こういった”調整役”も私たちのお仕事のひとつであります!
このような役割も、私たちは担っているわけです。
それにしても、創業者のもっとも大切にしている価値観を生かしつつ、次の世代へと会社を存続・発展させる戦略を考え、そして将来のビジョンを社員に示す・・・(上場企業はこの他、株主などステークホルダーもたくさんいるわけで・・・)
後継者の役割は本当に大変だぁ(>_<)!!と思います。