個人保証2重の禁止と、そして過去と現在と未来、と。
事業承継の場面で、以前より問題視されていた 「個人保証の二重化」 。
先代と後継者の双方から、個人保証をとることを原則禁止する方針を年内に策定することが
全国銀行協会と日本商工会議所とで決まったとのことでした。
中小企業が金融機関から融資を受ける際に、その経営者個人に保証を負わせ、
万が一、会社で返済できなければ、経営者が私財を投じて、代位弁済を負わせるのが「個人保証」です。
これが、事業承継の際の”足かせ”となっており、現経営者がつくった借金の保証を、
後継者にも負わせることを禁じるという方針です。
もちろん、このような制度、商習慣を変えていくことは必要ですね。
適度な借入はよいのですが、その会社にとって、過重な借入となっているならば、
後継者は、以下のようなことも念頭において経営を引き継いでいかなければいけないと思います。
それは、
「過去」に着目し、「現在」そして「将来」に 見通しを立てること。
すなわち、
過去=「いままでの経営のなかで、借入を重ねていった背景」
をきちんと知ることです。
それは、先代の経営スタンス(どのような考え方からを借入を重ねたか)からなのか、
あるいは、業種構造上の原因からなのか、など 過去での要因を探ること。
そこに問題がなかったのか、また、問題があって、その原因を将来、除くことができるのか、などです。
今までの借入金について、後継者が2重の個人保証を負う必要が仮に無くなったとしても、
過去の経営体質をずるずると継続させてしまっては、今後必然的に必要とされる新たな借入に対しては
後継者はその個人保証を次から次へと負うことになってしまいます。
次に、 現在の会社の状態 を正しく知ること。
その決算書は、単なる、税務申告のために作られたものではありませんか?
会計的にきちんと正しい決算書を作らなければ、誤った羅針盤情報で
今後も経営をしていかなければならず、厳しいこのご時世、経営のリスクは何倍にも膨れ上がってしまいます。
さらに、将来 に目を向けたとき、
自社の事業は、 ”将来の世の中” に、ちゃんと必要とされているだろうか、を考えることです。
このように、 自社の将来の存在意義を いま、考えること も
重要な後継者のミッションになるのですね。
・・・経営することって、本当に大変です。
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公認会計士・税理士 権田 俊枝
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