平成30年度税制改正⑨~相続税・贈与税編その4~
前回の「平成30年度税制改正⑧~相続税・贈与税編その3~」では、特例事業承継税制(非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度)の創設による要件緩和等のとして「雇用確保の要件の弾力化」について説明しましたね。
従来の事業承継税制では、事業承継後5年で平均8割以上の雇用維持(雇用確保の要件)が必要でした。この雇用確保の要件の平均8割の雇用を維持を満たせなかった場合、納税の猶予が打ち切られ、猶予されていた贈与税や相続税を納税する必要がありましたね。しかし、特例事業承継税制により、事業承継後5年で平均8割以上の雇用維持が満たせなかった場合でも、一定の要件のもと納税の猶予が継続されることになりましたね。
その一定の要件とは、「その雇用確保の要件を満たせなかった理由を記載した書類を都道府県に提出すること」です。なお、「その雇用確保の要件を満たせなかった理由を記載した書類」は、認定経営革新等支援機関の意見が記載されていることが必要となります。
今回の「平成30年度税制改正⑨~相続税・贈与税編その4~」でも、特例事業承継税制の創設による要件緩和等について説明します。
●平成30年度税制改正⑨~相続税・贈与税編その4~
特例事業承継税制の創設により「複数の株主からの贈与等が可能」になりました。
既存の事業承継税制では、「1人の先代経営者から1人の後継者のみ」つまり、「1人から1人」への株式の贈与又は相続が納税猶予の対象でした。
しかし、特例事業承継税制により、特例後継者が特例認定承継会社の経営者以外の者から贈与等で取得する特例認定承継会社の非上場株式についても、贈与等の納税猶予の特例の対象となることになりました。
これにより、例えば、先代経営者の配偶者から特例後継者への株式の贈与であっても、納税猶予の対象になることになりました。
※特例事業承継税制の適用は、平成30年1月1日~平成39年12月31までの間に贈与や相続等により取得する財産に係る贈与税や相続税となっています。
「平成30年度税制改正⑩」も引き続き、特例事業承継税制創設による要件緩和等について説明します。
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