平成30年度税制改正⑪~相続税・贈与税編その6~
前回の「平成30年度税制改正⑩~相続税・贈与税編その5~」では、特例事業承継税制(非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度)の創設による要件緩和等のとして「複数の後継者への贈与等が可能」になったことについて説明しましたね。
既存の事業承継税制では、「1人の先代経営者から1人の後継者のみ」つまり、「1人から1人」への株式の贈与又は相続が納税猶予の対象でしたが、特例事業承継税制により、最大3名までの「特例後継者」へ贈与等が可能になりましたね。この「特例後継者」とは、特例認定承継会社の特例承継計画に記載された、当該特例認定承継会社の代表権を有する者であって、当該同族関係者のうち、当該特例認定承継会社の議決権を最も多く有する者のことです。
※「特例後継者」は同族関係者と合わせて当該特例認定承継会社の総議決権数の過半数を有する者に限られます。「特例後継者」は、当該同族関係者のうち、当該特例認定承継会社の議決権を最も多く有する者とありますが、「特例承継計画」に2名又は3名記載されている場合には、それぞれ、上位2名又は3名の者(ただし、総議決権の10%と有する者に限られます)まで含まれます。
今回の「平成30年度税制改正⑪~相続税・贈与税編その6~」でも、特例事業承継税制の創設による要件緩和等について説明します。
●平成30年度税制改正⑪~相続税・贈与税編その6~
特例事業承継税制の創設により「相続時精算課税の対象者の拡大」がなされました。
相続時精算課税の適用対象者は、贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)の推定相続人又は孫でした。
しかし、特例事業承継税制により、特例後継者の贈与者の推定相続人以外の者(その年の1月1日において20歳以上の者に限ります)であり、かつ、その贈与者が当日において60歳以上の者である場合には、相続時精算課税制度の適用を受けることができるようになりました。
※特例事業承継税制の適用は、平成30年1月1日~平成39年12月31までの間に贈与や相続等により取得する財産に係る贈与税や相続税となっています。
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