「働き方」のこれからの思想設計はどちら?

「働き方」改革が始まり、あらゆる立場の方面から、これからの”あるべき”「働き方」の模索プロセスに、今あるといえますね。

 

東北大学大学院経済学研究科教授の柴田友厚先生の、ものづくり産業における「すり合わせ能力」(インテグラル型の能力)についての 情報誌『TKC』のなかの記述が とても印象に残りました。

 

主に製造業やシステム設計などの業界での考え方かもしれませんが、ものづくりにおいて、製品システムを設計する際に必要となる、 (システムの)”単位分け”と”つなぎ”の考え方の基本構想(設計思想) は 二つの型に分けられるのだそうです。

 

それは、 「インテグラル型」「モジュール型」 で、前者の考え方は、柔軟性をもった、関係間のきめ細やかな調整を重視し、

後者は、相互関係をあらかじめルール化し、関係間の独立性を重視する設計の考え方です。

 

現在は、ものづくり産業を中心に、後者の 「モジュール型」 の設計が主流になってきているそうです。

 

「モジュール型」の場合、合理的・効率的で、安定・成熟的なものづくりには適しているのですが、イノベーションは生まれにくく、たとえ制度疲労を起こしても 旧態依然とした設計思想を継続してしまう危うさもあるそうです。

 

一方、「インテグラル型」は、相手の立場や事情を察しながら連携する能力で、日本人の古来の考え方(価値観)の、「以心伝心」や「あうんの呼吸」のような団結意識のある設計思想なのだそうです。

 

 

 冒頭の「働き方」改革についてですが、”労働時間の効率化”が重視される傾向が強くなると、日本人の働き方は、今後、ますます「モジュール型」に近くなってくるのではないでしょうか?

 

労働時間の個人ごとの柔軟化や残業時間規制の対策などには「モジュール型」はとても最適といえると思います。

 

ただ、仕事そのものの楽しさや充実感などは、なかなか「モジュール型」では味わえないのではないか、と。。。

 

柴田先生は、革新的な技術が誕生したときには、再度「インテグラル型」に戻る(逆シフトする)ことで対応できる、といわれますが、豊富なリソースがある大企業には それが可能であるとしても、中小企業ではなかなか難しいと思います。

 

人は、自分の慣れてしまった型ができると、なかなか その考え方を変えることができないものです。

 

「モジュール型」の働き方が自分たちの中で主流になってしまうと、それがごく自然で ふつうの感覚になり、

非効率な「インテグラル型」は心理的・身体的負担を感じ、なかなか学べなくなってしまうかもしれませんね。。。

 

それが、ちょっと 将来の日本に心配?な要素なのかな・・・とも思いますが、果たして どうなのでしょうか・・・(^_^;)??

 

 

 

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公認会計士・税理士 権田 俊枝

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