”人類の基本的願望”!?と経営課題の共通点は・・・?
赤石義博氏(中同協前会長)のことばが’中小企業家しんぶん’ に掲載されていましたが、とても印象深かったので紹介したいと思います。
そもそも、書かれていたテーマは、「人類の基本的願望」というもので、
世界銀行のデータによれば、一日1.9ドル以下で生活する人が約9億人いる一方、なんと世界の所得上位62人の資産合計が所得下位36億人の資産と同水準なのだそうです。
世界全体で生み出された富が約77兆ドル(約9,200兆円)で、世界の人口は約73億人なので、一人あたり平均1万ドルの富を生んでいるはずなのですが、やはり富が一部の人に異常に集中しているため、その貧富の差の解消に向けて行動するよう、国際NGOのオックスファムは、各国のリーダーに呼びかけているそうです。
世界的規模の所得配分の問題は、もちろん、もはや個人や一企業レベルで変えられるものはなく、「社会システム」そのものを世界のリーダーが真正面から考えなくてはならない時期が来たのだと思います。
そんななか、「パナマ文書」の問題をどう解決していくか、とか、あるいは、もしかしたら”ムヒカ大統領”の考え方を世界のリーダーがどうとらえるか、が重要な国家的なテーマになったり・・・?
など、現実問題として、将来、世界単位での大きな課題になってくると思います。
でも、企業経営レベルにおいて、私たちは、どのような観点で日々、経営をしていくことが求められるのでしょうか?
赤石氏は、「今日生き抜かねば明日はないが、今日の問題解決だけの努力の全力であれば明日は死の淵に追いやられるかもしれない。未来への展望を持ち、そこへの布石を今日の問題解決の努力と並行して進めることが、ある日突然、奈落に突き落とされる事態を回避させる、これが経営者としての経験則である」としています。
※赤石氏は惜しくも今年3月にお亡くなりになりました
このことばから、孫子の「将に五危あり」(九変)をちょっと思い出しました。
「将に五危あり」とは、リーダーは、××という5つの側面で、それぞれ こんな性格の度合が行き過ぎると、ゆくゆくは会社を滅ぼしてしまうよ、という孫先生からのアドバイスです。
・必死は殺される
・必生は虜にされる
・忿速は侮られる
・廉潔は辱められる
・愛民は煩わされる
一番目の注意点として、
・必死は殺される = 目先の事象の対処だけに追われていて、心のゆとりや長期の展望を持たない者は、敵の罠に陥りやすく、身を滅ぼす危険性がありますよ
といった内容でしょうか・・・?
今を全力で必死になって戦っているだけではダメということですね。
このように、孫子は、敵と戦う際に(最善は、戦わないで済む(勝つ)ですが)不利にならないためのチェックポイントを示唆したのですが、戦う相手は、敵ではなく、経営者自分自身だともいえます。
未来の展望を明らかにし、複眼(現在と未来)をもつことは、経営を持続させるコツということでもあるし、
一方でもっと大きな目(鳥瞰)で見ていけば、それは「人類の基本的な願望」(生きる、くらしを守る、人間らしく生きる)の実現に、より近づける可能性も高いのかもしれません。
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