個人保証のあり方について~経営者保証ガイドライン①
中小企業の経営では、個人保証は必要要件で、かつ、家族や後継者に当然に引き継がれると思っていませんか?
個人保証が不要になる可能性として、いくつかの要件をきちんと満たせば、
個人保証は必ずしも 引き継がれたりはしないのです。
平成26年2月から、「経営者保証ガイドライン」が運用されていますが、情報提供の差異もあり、
意外と知られていないかもしれません。
新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合も、昨年末のデータで 約21%と、まだ全体的に少ないように感じます。
「経営者保証ガイドライン」は、新規融資以外にも、既存融資の保証に関する見直し、そして事業承継時の対応、
また、事業再生や廃業に伴う保証債務の整理も含まれます。
後継者が見つからない理由(19年 中小機構の調査)として、後継者候補がいない割合81.7%が最も高いのですが、
候補者がきちんといても 個人保証の拒否という理由で後継者の経営のバトンタッチができない割合も約12%あるようですので、とても惜しいことです。
こうした個人保証の解除や後継者への負担を減らすための取り組み(要件)は、大きく3つ。
1.会社と経営者個人の関係を明確に区分・分離すること。
会社と経営者の資金のやりとりは適切な範囲内にとどめ、かつ、一時的とすること。
2.会社の財務基盤を強化していくこと。
当然、借入金の返済原資は会社が将来的に生み出すキャッシュフローです。
このキャッシュフローを生まずして、会社は存続することはできません。
3.財務状況のタイムリーな把握、適切な情報開示によって、経営の透明性を図ること。
あらためて要件を確認すると、けっして特別難しい取り組みではないはずです。
最も注意したいのは、経営者が会社に貸す「役員借入金」。
これが一番の障害になっているといえるかもしれません。
容易に、日常的に、会社へ 経営者個人の財産を拠出する。
経営者にとっては身近で便利な(まるでコンビニのように?)会社と資金の貸借取引は、
じつは最も注意しなければいけない点です。
「身近で便利」が
将来の後継者への負担が増す要因になっていれば、
しっかり意識して、この関係を解消してくことが必須になります。
・・・次回は、「経営者保証ガイドライン」の指針の改正についてです。